日本酒をもっとゆるゆると沢山の人に楽しんで欲しい。
私が主人のお店を手伝っている際になるべく日本酒の基礎知識を伝えることを最低限つとめているワケは・・・・。
まずは、日本酒の味を自分で感じて、自分のものさしで自分の好みを感じて欲しいと思ったからです。そして、知識が無くても、日本酒の管理をちゃんとしているお店であれば何を呑んでも自分の好みに合っていれば楽しめるのではないか?とも思っているからです。
私事ですが、私が日本酒に興味を持った理由の一つであり、私が今こんなにゆるゆると日本酒を伝えている理由の一つに私の父の存在があります。
私の父はお酒が大好きな人で若い頃からアルコールというアルコールを色々飲んでいて、自宅にもビールから始まって、焼酎、日本酒、ウィスキーやバーボンなど色々なお酒がありました。
しかし、父はどのお酒にも詳しくは有りませんでした。
色々なお酒を飲んできた父が晩年落ち着いたのは日本酒でした。
私が日本酒に興味を持ち、きき酒師の資格を取って勉強していると話すと父は色々なお店に飲みにつれて行ってくれました。そして、私の勉強したての知識を黙って、ただうんうんとうなずきながら聞いてくれました。
聞いてはくれましたが、父は私の勧める日本酒を頼んでくれることはありませんでした。私が頼んだお酒に一口だけ口をつけ、そのあとは必ずと言っていいほど『俺は酒の事はよくわからん。ましてや良い酒は合わん。良い酒はお前が飲めばいい。俺は安酒が好きだ。』と言っていました。
父は生粋の燗酒飲みでした。冷たいお酒、特に吟醸酒はほぼ100%飲みませんでした。しかし、父は吟醸酒だから飲まなかったのではなくて、自分の好みではないお酒を選ぶと自然と、自分の行く飲食店の定番日本酒の燗酒用と定義されているお酒しかなく、そのお酒は大抵そのお店で一番安いお酒だったため、そういうふうになったのでしょう。
拘った、冷たいお酒は高くて好みに合わない。父の行くお店にはお燗酒を色々飲ませてくれるお店がなかったのでお燗酒にも高いお酒から安いお酒まであることを知らなかったのでしょう。
そして、きき酒師の資格を取りたての私も、その当時冷酒の知識は割とがんばって勉強していましたが、お燗酒向きのお酒の知識はあまりなく、どうやったら父といろんなお酒を楽しめるんだろう??と思っていたものでした。
ふりかえってみれば、得たばかりの知識を頼りにお酒と料理の相性を決めつけて飲むのではなく、父と一緒に楽しめる自分が美味しいと思えるお酒にこだわれば良かったなぁ?と思います。
それに気が付いたとき、私は日本酒をビジネスにするのではなく、一つの嗜好品として楽しむなら日本酒の専門知識に偏るばかりが日本酒を楽しむ方法ではないのではないかと感じ始めました。
主人のお店を手伝うようになってから、日本酒をもっと気軽に楽しめるなら飲みたいけど、色々知らないと飲めないお酒なら敷居も高いし別に飲まなくてもいいというお客様にも何人も出会いました。
もちろん、拘りたい人はとことん拘って楽しんだらいいと思います。でも、拘らなくても楽しめるってことを伝える講座があってもいいかなぁ?と思うようになって行きました。
結局父は最後まで自分は安酒飲みだと死ぬまで言い続けていましたが、死ぬまでお燗酒を好み、私が結婚した後は良く主人をダシに母の目を盗んでお燗酒を楽しんでいました。
そんな安酒飲みと自称していた父も、主人が持参するお燗酒向きの美味しい地酒は美味しそうに飲んでくれていましたから、やっぱり安いお酒が好きだった訳ではなくて、日本酒の知識は無いけれど、自分の好みに正直なだけだったのでしょう。
そして、多分今でも都心の日本酒ブームとは関係なく日本酒を好んで飲んでいる日本中の愛好家の中にはやっぱり日本酒の知識はなくとも自分の好みを持っていて、自分の大好きなお酒を毎晩晩酌している・・・そんな昔ながらの一家に一本の日本酒という文化を続けている人たちも少なくても、きっといてそういう人が増えることが日本酒の消費量を減らさないことにつながるんじゃないかとこっそり考えています。
一人が沢山飲まなくても、沢山の人が当たり前に少しずつでも消費する。それくらい日本酒が当たり前の物になってほしい。
だから、自分の好みを探すための日本酒講座をやりたいって思いました。
今は日本酒を好きじゃなくてもいいです。苦手感があっても大丈夫。興味本位でもこの講座を受けて頂けたらとっても嬉しいです。日本酒は沢山飲めなくても、一人前のランチは出ますから、お昼ご飯食べれて、日本酒の話も聞けるランチ会みたいな軽い気持ちでご参加頂けたらとっても嬉しいです。
日本酒学講師に学ぶ、おうちで楽しく晩酌が出来るようになる日本酒講座、まだまだ参加者募集中です。